2009年6月27日

奇想の王国 だまし絵展

Magritte

久し振りに美術館に行ってきた。

昔から現在までのいろいろなだまし絵の展示で、
有名どころではエッシャーやマグリットなどの現実にはありえない風景の絵とか
アルチンボルドの野菜でできた人間の顔など。

なかでも、17世紀にドメニコ・ピオラという人が作った
「ルーベンスの<十字架昇架>の場面のあるアナモルフォーズ」
という作品に感動した。

一見すると暗いうずまきの抽象画だが、
その中心に円筒形の鏡を立てて覗き込むと
人物画が映る、というもの。
それもルーベンスが元ネタなだけあって
かなり細密な絵だ。

円筒の鏡なのでちょっとぼやけたような感じに映り、
すぐそこにあるのに、別空間のものを見ているような美しさがある。
一周しても左右がつながっているし、
暗いうずまきの中に円筒を立てるというのが
なんとも魔術的に感じられた。

展覧会だから円筒は最初から設置されていたけど、
本来は知っている人だけが円筒を用意して見たのだろう。
どうやって作ったのかわからないが
すごい仕掛けだ。

他にびっくりした作品では
現代美術のパトリック・ヒューズ「水の都」で
絵が動く。
動くから映像作品かと思わせられるけど
実はシンプルな立体作品で、
見る人が動くと絵の見え方が変わるというもの。
これには来てた人の誰もが驚いていた。
こんな単純な仕掛け(文章では表現しづらい)
でだませるというのがすごい。

でもなあ、これはだますこと目的で作ってる感じもする。
ほとんど数学の世界になってしまうというか。

作品そのものの美しさという点で
やっぱり鏡を立てるやつが一番だった。

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